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 貴族への浸透

(株)広栄社 代表取締役社長 稲葉修 著 「楊枝から世界が見える」 から抜粋

僧侶が常に身に付けておくべき大切な楊枝は、彼らと交わることの多かった貴族に伝わりました。時の右大臣・藤原師輔(ふじわらのもろすけ:908〜960)も、その著『九条殿遺誡』の中で、朝に楊枝を使って口を漱ぎ顔を洗うことを日常の作法として行うことを、子孫に伝えています。

今に伝わる多くの文献のなかに楊枝が出てきますが、いずれも歯の健康について述べられています。


庶民への普及

庶民に伝わったのは平安末期のころでしょうか。室町時代の「田植え歌」に「けふの田主はかねのようじをくわえた」や「楊枝木には南天竺のびわの木」などの言葉がでてきます。この時代には、房楊枝と同様先端を鋭く尖らせたいわゆる「爪楊枝」も使われました。江戸時代には、一方が毛筆のように房状になっている房楊枝の、もう一方の先は尖っていて、「爪楊枝」になっており、さらにその柄の部分はカーブしていて舌掃除に使うようになっています。

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